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母のこと 6

東北道の佐野インターを降りれば、母の待つ家まではすぐです。早く到着したいと思いながら運転してきたはずでしたが、ここまで来たら、急に「もっと時間がかかればいいのに」と思い始めていました。母の顔を見たい気持ちと、現実を受け入れたくない気持ちが頭の中をぐるぐるしていました。
引き返すわけにはいきません。とうとう車は父母の住居の駐車場に到着しました。
フロントにいた方も、事情はお分かりのようで、「どうも」と頭を下げると、無言で返礼してくれました。部屋に入ると、母は、いつものベッドではなく、和室に敷いた布団の中で休んでいました。

「お疲れ様」。口から出たのは、この一言でした。

痛みを伴う病気ではなかったので、発病以来、あまり苦しそうな母の様子を見ていませんでした。(本人は苦しかったと思います。リハビリをしているときは辛そうだったと父から聞かされていましたが。)しかし、8月に入院して以来、呼吸は荒く、ずっと苦しそうな表情でした。
でも、布団の中の母の顔は本当に穏やかで、ありふれた言い方ですが、まるで眠っているようでした。苦しさから、ようやく開放されたんだと思いました。
そっと触れてみた頬はとても冷たく、紛れもない現実がそこにありました。しばらく涙が止まりませんでした。

(続く)


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Comments

弟からの知らせで、ベトナムから急いで帰国し、棺のなかの父と対面したときのことを思い出しました。
この二ヶ月前に一時帰国したとき、ベトナムに戻る私をたまプラーザの成田空港行きバス乗り場まで見送ってくれた父が、こんな姿になるなんて、と悲しいやら悔しいやらでやりきれませんでした。父がこうなるんだったら、ベトナムに戻るんじゃなかった!と。
このブログを読んで、私も涙が止まらなくなりました。

Posted by: Giang | February 03, 2008 at 12:59 AM

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